校舎紹介

 2019年9月、沿道の道路拡幅工事に伴って山形デザイン専門学校の校舎が新しくなりました。設計を担当したのは環境(建築)デザイン科講師による設計共同企業体です。
 長きにわたって学校運営に携わってきたスタッフの思いを形にした、あたたかく開放的な校舎です。

設計コンセプト

 コンセプトは「ひらかれた学校」。「ひらく」には2つの意が込められています。
 1つは物理的な「開く」の意。ひとを隔てる壁がない、ひとりひとりが孤立しない、行き止まりのない空間を目指し設計された本校舎は、教室が可動壁で仕切られています。それを開閉すれば教室エリアの面積が可変する、「開く」学び舎です。
 2つは未来を「拓く」。デザイン系専修学校が東北に1つも無かった時代に山形に本校を作り、山形のデザイン振興に寄与した加藤隆巳初代校長の開拓精神を、壁を開くという行為になぞらえ「拓く」学び舎としました。
 空間活用の可能性に富み、人との交流が生まれやすい、木のぬくもりに包まれたあたかな学び舎です。

間取り図


校舎ができるまでの流れ

設計の準備は2013年から始まりました。設計部会と学び舎委員会(ビジュアルデザイン科と環境デザイン科講師による校舎構想委員会)が本格始動したのは2017年からです。関係各社様の多大なご協力のもと、2019年9月30日に全ての工事が完了しました。

1. 準備、構想(2013.9-)

新校舎に求めることを教職員にヒアリングすること、規模(建物の大きさ、予算)、敷地、工期等の確認を行うことから始まりました。

2. 基本計画(2017.12-)

要求・要望をまとめ、与条件を整理し、計画の諸条件を検証・分析しながら方針を定め、基本方針の立案やコンセプトを設定します。スタディ模型を製作し、アイデアが実現可能かをチェックしながら進めていきました。

苦労話:30以上の設計案を作り、それを1案に絞り込むのがとっても大変でした(先生 談)

3. 基本設計(2018.1-)

建築主(学校)の要望や希望を聞きながら建築計画の骨格を作ります。建築形態、構造種別、施工工法、インテリア、コストバランス等を検討し、イメージパースや模型を作って設計案をビジュアル化します。それを、設計部会が本校教職員にプレゼンテーションし、最終設計案がまとまりました。

4. 実施設計、建築確認申請および各種許認可申請(2018.4-)

設計部会が考えたプランが工事者に正確に伝わるように、建築、構造、設備、土木などの実施設計図書、設計仕様書、工事費予算書等を作成します。途方もない数の図面作成を、環境デザイン科の全講師が手分けして行いました。並行して各種法令や条例に基づいた各許認可の手続きを行いました。

苦労話:たくさんの人と一緒に作り上げていくので、意思疎通が大変でした(先生 談)

5. 工事準備、旧校舎解体(2018.9-)

地盤確認や、工事の製品監理を行いました。

6. 工事期間(2018.11-)

オリンピック需要により建材が不足したため、宮城県まで建材を調達・検査しに行きました。

苦労話:施工業者との意思疎通や調整が非常に大変でした(先生 談)

7. 工事完成、引渡し(2019.8.31)

業者立ち会いの完了検査をし、無事に校舎が引き渡されました。


  • 設計監理/山形デザイン専門学校 設計共同企業体(環境デザイン科講師による)
  • 施工者/株式会社 千歳建設
  • 着工/2018年(平成30年)11月1日
  • 竣工/2019年(令和元年)9月30日
旧校舎の空撮画像です