卒展の三日間、来場者の皆様から激励の言葉やお褒めの言葉、質問や提案、改善点の指摘などをいただきました。それらは制作者として、かけがえのない経験となりました。
ご来場いただいた皆様、およびご協力いただいた皆様に、心より御礼申し上げます。誠にありがとうございました。
受賞作品をまとめました。どうぞご覧ください。
普段は取り上げるまでもない日常の中の「あるある」にスポットを当て、コミカルなイラストで表したポストカード。
多くの人が共感できる話題をイラストで描き、それをポストカードにすることにより、コミュニケーションが弾むことを狙った作品である。
また、日々の中にも様々な出来事が起きていることに改めて気づいて欲しいとの意図もある。
イラストの制作においては、その制作過程で様々なアナログ的手法が試行されており、その手法をまとめた冊子「ウラガワ」も展示した。また、「あるある」を実演した映像も観覧者の共感を呼ぶものとなった。
作者が愛する自身の地元「遊佐町箕輪地区」を活気のある地区にする為に、移住者を誘致し定住を促す住みやすい街づくりを目指した地域計画。住宅設計と周辺整備で構成されている。
遊佐町は夏には梅花藻が咲き誇り、秋から冬にかけてはたくさんの白鳥が訪れる「湧水の里」として有名であることから、「水」をコンセプトとして計画。
湖のように水を湛えた有機的な形が溢れる大自然と、その中に配置された人々が暮らす鉄筋コンクリート造の無機的な建物とのコントラストによる神秘的な情景が、人々を誘致しうる魅力となると考えた。周辺に商いエリアも置くことで、商業・住宅一体の美しい水の街として計画した。
SNSで感情を豊かに伝えるために使用することを想定した、「動く文字」(モーショングラフィックス)である。
作者は、SNSでの標準的なフォントを用いたコミュニケーションでは感情が伝わりにくく、すれ違いが起きがちであることに着目。文字そのもののデザインを感情を表現したものにすればより円滑に感情が伝わり、さらにそれに感情にあった動きを加えれば、より相手に感情が伝わるのではないかと考えた。
制作にはアニメーション制作ソフトではなく、一般的にプレゼンテーションツールとして認知されているPowerPointを使用。その意外性も隠れた見どころである。
卒展ではアニメーションを展示したほか、観覧者がQRコードを用いて動画を自分のスマートフォンにダウンロードできるようにした。
たくさんの植物に囲まれた塾である。「緑と可能性を育てる塾」と銘打ち、地球温暖化を観点に、日本で最も緑が少ない大阪の都市部に計画した。
自然と触れ合うことは想像力を育むことと捉え、都市部の子供達にも日々の学びと共に自然に触れる機会を与えることで、想像力を育むことを目的としている。
教室や図書室はもとより、音楽室、工作室といった制作関係の教室や、具体的に自然と触れ合える中庭や屋上もある総合的な学びの施設とした。また、地域の方々の交流の場として使用することも想定している。
これらのことから大阪を緑化するきっかけとすること、ひいては都市部緑化のモデルケースとなることも目的である。
卒展では、見応えのある緑豊かなモデリング(建築模型)も観覧者の目を引いていた。
ヒカリ(光)による癒しを表現した写真集。
作者自身が、疲れた時やリフレッシュしたいときに、一人で静かな場所へ行き、鳥や風の音を聞き、頭を空にして眺めていると、「しずかなヒカリ」「やさしいヒカリ」「やわらかいヒカリ」を感じて気持ちを入れ替えることができる経験から、そのような「ヒカリによる癒し」を写真を通し表現したいと考え制作した。
卒展では、静かで穏やかな光の写真を収めた「Calm light」、空の光の写真を収めた「sky light」の二冊の写真集に加え、撮影した光を光で展示する為に、撮影時の気持ちを表現した動きとBGMで構成したスライドショーを展示した。
4人の作者それぞれが考える「至高の空間」のデザイン。二年間、インテリア関係の授業で学んできた「誰もが心地よく過ごせる環境作り」の集大成となる授業課題作品である。
作者4人が本授業で学んだ技術や知識を駆使し、それぞれ思い入れのある分野の空間デザインに取り組んだ。各々のテーマは次の通り:
卒展では、三次元CADと画像編集ソフトを用いて具体的な形に表現した空間を、テーマに沿ったビジュアルで構成したプレゼンテーションボードで展示した。なお、このようにボードにまとめるビジュアル表現は、ビジュアルデザイン科との合同授業によって学んだものである。
山形県川西町をPRするポスターである。
作者は自身の地元である山形県川西町に美味しい日本酒の酒造があることに着目。これを地域の魅力として広めようと、日本酒を使った川西町PRポスターを制作した。
ポスターに注目させるインパクトを持たせる為に、日本酒の広告では珍しい「女性がお酒をついで楽しそうにしている」デザインにした。お酒に顔を近づけている構図やその笑顔から美味しい酒であることを伝え、若い人や女性も日本酒を買いやすくすることを狙っている。また、その温かな配色で楽しい気分を表現した。
日本酒に馴染みのない層に向け、キャッチコピーは説明的にせず「おかげで日本酒が好きになりました」と、あくまで日本酒への興味を持たせるものにした。
特定の商品名を入れず、酒造メーカーの名前だけにすることで、川西町の日本酒の中から好みのものをインターネットで探してもらうことを狙っている。
(ビジュアルデザイン科1年生の進級制作は共通テーマ「地元をPRするポスター」です)
幅広い世代を対象とした交流施設である。子供から高齢者までの幅広い世代が、お互いに生きがいとなり心の支えになる場として計画している。
小さな建築物(駄菓子屋みよちゃん)が大きな建築物正面のガラス壁に半分埋め込まれたような構造となっている(なお、「みよちゃん」は山形県新庄市に実在する駄菓子屋であり、新庄市の子供達にとって大切な場所となっている)。
駄菓子屋「みよちゃん」とその二階の勉強部屋、子供の遊びスペース、休憩スペース、食事スペース、談話スペース、そして中心に位置する昔遊びスペース(土間)とそれに面したステージから構成されている。
子供達同士の交流の場と高齢者同士の交流の場が一つの空間にあり、そこに緩やかな繋がりが生まれることを狙っている。
また、地元の語り部によって行われる民話のお話会の時には、ステージにいる語り部を中心に、全てのスペースが寄席となる設計である。
(写真の模型は屋根が外してあります)